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 安倍晋三元首相を自作の銃で殺害した山上徹也容疑者をめぐってとんでもない情報が浮上した。すでに明らかになっている山上容疑者のツイッターアカウントとは別のアカウントが以前に存在し、安倍氏の殺害をほのめかしたことで凍結になっていたというのだ。これが事実なら今まで取り沙汰されてきた動機の再検証が必要になりかねない。

 読売新聞電子版で31日に報じられた「山上容疑者、安倍氏が首相在任中から殺意か…殺害示唆する投稿でアカウント凍結」との記事が話題だ。記事によると、山上容疑者は2019年以前にツイッターアカウントを持っており、安倍氏の殺害を示唆する書き込みをしたことで凍結されていたという。

 これまで判明している山上容疑者のアカウントは「silent hill 333」で、安倍政権が終わった直後の19年10月から今年6月末まで続いていた。これとは別のアカウントが存在していたことになる。この報道を受けて、問題となっているのが動機だ。事件後に伝えられていた動機は山上容疑者の母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)にのめり込んで、多額の寄付をするなどして家庭が崩壊し、その恨みを旧統一教会と関係のある安倍氏に向けたというものだった。

 当初は教団トップの韓鶴子総裁を狙い、19年に来日した際に襲撃を企てたが、実行できなかったとされる。その後は新型コロナ禍で韓総裁の来日も難しくなり、矛先を変えた。とりわけ、安倍氏が昨年秋に旧統一教会の友好団体に送ったビデオメッセージの存在を知ったことが殺害の決め手だったとされている。読売報道の通り、ビデオメッセージ以前にも安倍氏の殺害をほのめかしていたというなら、それは何が理由だったのか。

 元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「事実なら動機は変わってくるかもしれません。山上容疑者は事前に取り調べでこう聞かれたらこう答えるという想定問答を作っていたはずです。調べにペラペラと話しているようですが、想定内のことしか話していないでしょう」と指摘した。もともと伝えられていた動機には旧統一教会への恨みに同情する意見を含め、さまざまな見解があった。ある公安関係者は「動機に政治的な背景があるのか、ないのかというのは事件直後から大きなテーマです。なかなかとっかかりになる話が出てきません」とこぼしていた。

 一方で北芝氏は「公安OBたちとも話しましたが、みんな山上容疑者の話していることを信じていない。私もそうです。旧統一教会への恨みは本当でしょうが、そこから安倍氏への殺意にリンクするには別の影響がないと考えにくい」。

 以前にもツイッターで安倍氏の殺害をほのめかしていたというのなら、それは何が理由でそう思ったのかを改めて調べてもよさそうだ。少なくともビデオメッセージが決め手という話は修正が求められる。「動機の再検証が必要です」と北芝氏は指摘した。



なお読売の記事は誤報

3年前にもツイッター凍結 山上容疑者、教団幹部の殺害示唆
https://www.sankei.com/article/20220801-UUFRI2WYANOYJGRUG6NI5IZCVI/
同社はアカウントの投稿内容は「答えられない」としているが、捜査関係者によると、令和元年以前に旧統一教会幹部らの殺害を示唆する内容があった。一方、当時首相だった安倍氏の殺害を示唆する内容は確認できなかったという。