東京・秋葉原で男女17人が無差別で殺傷された事件で、殺人罪などに問われた加藤智大死刑囚(39)の死刑が7月26日、執行された。2008年6月8日に起きた事件から14年が経っていた。

 これで死刑を待つ確定囚がまた1人減った。とはいえ、残るは106人。加藤死刑囚は15年の判決確定から7年後の執行だったが、それより前に確定した死刑囚は数多いる。加藤死刑囚の“ごぼう抜き”には理由があるのか。

 社会部記者の解説。

「古川禎久法相は会見で『慎重な上にも慎重な検討を加えた上で死刑の執行を命令した』と強調していました。現場を収めた映像などから、加藤死刑囚の単独犯だったことは当初から明らかで本人も早々に認めていた。大臣としても執行を躊躇する理由はなかったといえます」

 ただ、古川法相に決断を促した理由はそれだけではなさそうだ。

「政府は死刑反対論を警戒しています。それもあって、本来なら判決確定から半年以内に執行するよう定められている死刑をなかなか執行しないのです。要は絞首台に送っても、世論から批判が出ないような死刑囚の方が優先されているのが実情です」(同前)

 実は加藤死刑囚は、確定判決後も法務省や刑務所関係者の間で「わかりやすい死刑囚」として目立つ存在だった。

死刑囚の作品展に自らの境遇や事件を茶化すような作品を応募

「死刑囚の作品展に毎年のように絵や詩を応募していました。ところが、作品の大半が自らの境遇や事件を茶化すような代物ばかりだったのです」(同前)

 たとえば「死刑囚表現展2017」では、「あしたも、がんばろう。」と題した絵画を出展。人気アニメ「アイドルマスター」を点描画で再現した模写かと思いきや、よく見ると、その点は点ではなく、全て「鬱」の文字だった。

 別の年には、新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」をあろうことか、「君の縄」ともじった題の作品を出展。主人公とおぼしき登場人物の首に縄を巻きつけ、自分の行く末とリンクさせていた。

 さらに「表現展2018」には、〈人生ファイナルラップ〉と題した辞世の句ならぬ“辞世のラップ”を投稿。〈親は力で支配しがち/屈辱に耐える毎日〉と韻を踏みながら母親に極端な躾を受けた末に疎まれた半生を振り返り、そうした来歴が犯行に駆り立てたことを示唆しつつ〈原因不明皆もやもや〉と犯行の真の動機は伏せ、〈絞首刑かかって来いや/首に食い込む錆びたワイヤー/迎えられないニューイヤー〉と挑発的な文言を続けていた。

 最後まで反省の色が無かった加藤死刑囚。〈かかって来いや〉と綴った絞首刑は執行されたのだった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2117775949d8d3fb640cbacb2ec29d1dc5e74478

加藤死刑囚の作品
「人生ファイナルラップ」
https://i.imgur.com/RmCbRd3.jpg
「君の縄」
https://i.imgur.com/1LXCVOx.jpg
「あしたも、がんばろう」
https://i.imgur.com/26t5Qz5.jpg
https://i.imgur.com/R0FKb3X.jpg
「メルシー原正志」
https://i.imgur.com/FeuRHQX.jpg
「艦これイラストロジック」
https://i.imgur.com/599IkX2.jpg