脱「統一教会」をアピールできるのか。
岸田首相は10日の内閣改造で入閣する全閣僚に旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関係の有無を点検させる考えだが、とりわけ重要なポストが2つある。
文科相と国家公安委員長だ。

■生殺与奪権を握る

 文科相は宗教法人の所轄大臣。
信教の自由や政教分離など憲法の定めにより権限の行使には慎重さが求められるが、裁判所に宗教法人の解散命令を申し立てられる立場にある。

 国家公安委員長は事実上、警察のトップ。
社会問題を引き起こした宗教法人の捜査にあたるのは、まず警察組織であることは言うまでもない。

 旧統一教会にすれば、両閣僚こそ「生殺与奪権」を握る最重要ポストと言えよう。それなのに、現職の2閣僚はともに教団と関わっていた。

 末松信介文科相は旧統一教会の関係者2人にパーティー券を購入してもらい、教団関連のイベントに祝電も送っていた。
より関係が濃厚なのは二之湯智国家公安委員長だ。
2018年に教団関連団体のイベント「ピースロード」で、地元・京都府の実行委員長を務めていたことを自ら認めた。

 旧統一教会と関わっていたのは現職の2人だけではない。
第2次安倍政権の発足時の文科相は15年の「名称変更疑惑」の渦中にある下村博文氏。
対象を文科副大臣や政務官まで広げれば「関係アリ」はゴロゴロいる。

 14年9月~15年10月に国家公安委員長を務めたのは、山谷えり子氏である。
本人は否定しているが、過去の参院選で旧統一教会の「重点候補」として支援を受けたとする教団の内部文書が存在する。
ジャーナリスト・鈴木エイト氏の取材によると、19年9月から約1年間、国家公安委員長だった武田良太氏も旧統一教会及び関連団体の幹部らと17年に米国外遊へ出かけ、
韓国で開かれた教団の関連団体主導の国際イベントにも出席していた。

「これだけ接点を持つ議員が、旧統一教会が最重要視するポストに登用されてきたのです。
今も教団による被害は後を絶たないのに、この12年間も関係者の検挙がゼロなのは、偶然とは言い切れません。
この期に及び、岸田首相の『点検』は閣僚に選ぶ議員任せ。恐らく警視庁公安部は教団と関係が深い政治家リストをまとめているはずなのに、
そのデータを“身体検査”に生かそうともしない。政権が旧統一教会の宗教法人認可を取り消すくらいの覚悟を示さなければ、
ほとぼりが冷めたら元のもくあみです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 メディアも不断の監視を続けることが「失われた30年」の教訓である。
https://news.yahoo.co.jp/articles/533c3e6d1e221019f2fecc9b8b99690c4a0cb0ee