★「親を部屋に閉じ込めた」「ベッドに縛り付けた」急増する介護家族の悲劇 背景にある予想外の理由と専門家の警鐘

コロナ禍により普及したテレワーク。介護をする人にとって仕事と介護を両立できる
いい制度であるという認識もあります。しかし、「介護とテレワークの両立がうまく行って
いるケースは一件もない」と警鐘を鳴らす専門家がいます。その理由はなんなのでしょうか。

■ウェブ会議に乱入されるから親の部屋に鍵をつけて閉じ込めた

テレワークと介護の両立を始めたAさん、親は軽い認知症でした。しかし、仕事の邪魔になる
からと鍵をかけて親を閉じ込めるという、虐待にあたる行為に発展しました。

「Aさんは親に『これから(オンライン)会議だから話しかけないで』と伝えていたんですが
Aさんの親は記憶力が低下していました。ですので『話しかけないで』と言われても記憶に
定着しないんです。親からすると、“部屋の中で娘がわけわからん箱に向かってわんわん
独り言を言っている”という風に見えるんですね。それで『あんたどうしたんだ』って娘に
話しかけてしまいます。そうするとAさんは、話しかけないよう伝えたのにって、ついつい
怒鳴っちゃうんですって。怒鳴ると親はより不安になって、話しかけの頻度は高くなります」

親孝行のために頑張ろうと一人で背負うことで、意図せず虐待につながるケースが散見される
といいます。自分がうとうとしている間に母親がトイレに行って転んだから、転ばないように
親を守りたいと思った息子が、親をベッドに縛り付けるといった例もあったといいます。

■「自分がいるから」ヘルパーやデイサービスを断ってしまう

出社していた時は母親をデイサービスに送り出していたBさん。しかしテレワークを始めると
母親は「どうしてあんたが家にいるのにデイサービスに行かなきゃいけないの?」と行くこと
を拒むようになりました。1日中家に母親がいる状況では仕事にならず、Bさんは退職する
ことも考え始めています。

「デイサービスに行くといろいろ面倒な人もいるとは思います。でもそれが社会なんです。
子どもがテレワークすることで親がデイサービスに行かなくなっちゃうと、ケアの幅みたい
なものが失われる。デイサービスは“預かり所”ではなくて、人と交流することで社会機能・
身体機能の維持、ストレス発散できる場所と考えてもらえたら」

■介護とテレワークの両立「一件もうまくいっていない」

川内さんの話を聞いていると、確かにテレワークは介護の味方ではない、ということが
わかってきました。しかし、何かいい両立の道があるのでは?という儚い思いを川内さんの
言葉が打ちのめします。

「『テレワークをすることで、仕事を上手に調整して親を介護する時間を増やす』と考えた
時点で、もう“終わってる”。そうではなくて、親がいかなる状況にあっても自分の生活が
崩れない体制作りをするのが両立。

介護とテレワークの両立は、一件もうまくいっていないです」
(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/01ffe7a3ec7157fd53b262f0bd6287aa2ffe6a91?page=1