上野創2022年9月3日 13時00分
 
 Cancerの頭文字「C」を消してがん治療研究への寄付を増やそう――。ネット上で3日からそんな取り組みが始まる。乳がんになったデザイナーの女性が3年前、「がんを治せる病気にしたい」と仲間に伝えて始まった活動。受け継がれ、広がっている。

 活動の名は「deleteC(デリート・シー)」。「がんを消す、治す」との思いを込め、同じ名前のNPO法人が続けてきた。がん征圧月間の9月末まで「大作戦」と称して参加を募る。今年で3回目になる。

 寄付の仕組みはこうだ。

「C.C.レモン」のCに線を引いて撮影、投稿→100円が寄付
 協力を表明した20企業の商品を購入し、商品にあるCの文字を消したり見えなくしたりした状態で写真に撮る。例えば、サントリー社の商品「C.C.レモン」の「C」のロゴに斜線を引いて撮影する、などだ。

 「#deleteC大作戦」「#企業名(またはブランド名)」を付け、がん対策への思いも自由に書いてツイッターやインスタグラムに投稿する。1投稿につき100円が、その企業からNPOを介して、研究に寄付される。

 また、協力企業の公式アカウントが発信する画像に「いいね」やリツイートをしたり、動画を再生したりすると、同様に企業から10円が寄付される。

 企業側のメリットは、商品の購入や認知度アップにつながり、社会貢献の機会にもなること。カルビー、コクヨ、サイボウズ、セメダイン、NTTドコモなど業種は様々だ。企業以外に、一般社団法人の京丹後青年会議所も初参加する。

 一昨年9月の写真投稿は約9千件、昨年9月は約2万件。今回は5万件を目指すという。こうした過去2回の「大作戦」や、それ以外の個人・企業から寄せられた寄付から、これまで6人の研究者に計2100万円を提供した。寄付先は公募し、医療者・研究者も加わった選考委員会で決めている。

 NPOの小国(おぐに)士朗・代表理事は「専門家でない自分たちでもがん治療の前進のためにできることがある。SNSの投稿やリツイートなら負担も少ない。がんは重いテーマだが、寄付は多くの人にカジュアルに参加してもらいたい」と話す。




「治せる病気にしたい」と活動 悪化する病状

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ924V6KQ8ZUTIL038.html