2022年09月14日 19時45分

1964年東京五輪の男子マラソンで銅メダルを獲得した故・円谷幸吉さんを「自殺に追い込んだ人物」と雑誌で名指しされた元上司の遺族が9月14日、父親の名誉を傷つけられたなどとして、出版元の宝島社などに対し、1100万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、東京地裁に提訴した。

提訴したのは、元上司である故・吉池重朝さんの長男吉池義雄さん。重朝さんは円谷さんが在籍していた自衛隊体育学校で当時学校長を務めていた。

提訴後に開かれた会見で、義雄さんは「父が円谷さんを殺した張本人であると書かれたことに対し、やり場のない怒りと悲しみを覚えた」と話した上で、提訴は「父の名誉回復のため」であり、円谷さんの遺族に迷惑をかける意図はないことを強調した。



●裁判では「故人の名誉」も主張

訴状などによると、2020年1月発行の「別冊宝島Special 真相 戦後の昭和怪事件&スキャンダル」で、重朝さんの実名を挙げ、「円谷幸吉を自殺に追い込んだ人物」「(重朝さんは)鼻の下にアドルフ・ヒトラーのようなチョビ髭をたくわえており、学校では『独裁者』と呼ばれていた」などとする記事が掲載された。

円谷さんは1964年東京五輪で男子マラソンに出場し、陸上競技で唯一のメダル(銅メダル)を獲得するなど国民的英雄とうたわれたが、1968年に27歳の若さで自死した。

原告側は、円谷さんの自死の原因には諸説あり、唯一の原因といわれるような直接的な原因は特定されていないとしたうえで、重朝さんが円谷さんの自死を招いた張本人とするような記事を掲載することは、社会的評価を著しく低下させる名誉毀損だとしている。

毀損されたとする「名誉」について、原告側は、円谷さんを自死に追い込んだ人物の息子としての烙印を押された立場にある義雄さん固有の名誉のほか、故人である重朝さんの名誉も挙げている。

その根拠に、死者の名誉を毀損する者を処罰する刑法230条2項や故人の人格権が侵害された場合の救済措置を定める著作権法60条および116条があるとして、故人の名誉権もこれら規定の類推適用により、法律上保護される利益にあたると主張。重朝さんの名誉侵害による損害賠償請求権についても、著作権法116条1項の類推適用により、義雄さんが行使主体となるとする。


●「子や孫の代も、ずっと続くのかなと辛い気持ちになります」

●宝島社の見解

https://www.bengo4.com/c_18/n_14996/