自由民主党は、まず「立党宣言」の冒頭で、「政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う」とうたったあと、「われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する」と、自由民主政治の基本精神を明らかにしました。

また「党の性格」については、(1)わが党は国民政党である、(2)わが党は平和主義政党である、(3)わが党は真の民主主義政党である、(4)わが党は議会主義政党である、(5)わが党は進歩的政党である、(6)わが党は福祉国家の実現をはかる政党である、と規定し、「綱領」には、

一、 わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する
一、 わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する
一、 わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する
と定めました。

かくして、わが国戦後民主政治の発展に画期的な歴史を画する自由民主党の歩みは、ここに始まりました。

なお、これより一カ月早く、社会党はすでに左右両派の統一をみていましたから、いわゆる保守・革新の二大政党時代が本格的に幕あけしたことになり、日本の政治は、これを契機として全く新しい前進を示すものと期待されたのです。