2022.09.29 05:50 文=木村誠/大学教育ジャーナリスト

 毎年9月に公表される日本私立学校振興・共済事業団の私立大学志願者動向調査によると、2022年春の入学者が定員割れした私大の比率は47.5%(284校)で、2021年より7校増えた。半面、全私大の入学定員充足率(入学者/入学定員)は2021年に99.8%と100%を切ったが、2022年は100.8%と回復した。

 私大全体(598校)の入学定員49万8019人に対して、入学者が50万2199人と、4180人オーバーしたのである。これは、合格者が150万8201人と、前年より7万0292人も増えたからである。受験者数は2万0844人も減っているので、合格率が高くなった。

 ある大学が入学定員より入学者が数名少ないからといって、別に問題があるように思えない。ただ、私大は入学金や授業料が収入の6割前後を占めるほど学生納入金依存度が高い収入構成になっているので、欠員が何十名単位になると影響が出てくる。そのまま、定員未充足状態が続くと、国および地方公共団体からの私学助成も減額などの可能性もある。そうなると、大きな収入減に直結するのだ。

 ただ、収入減よりもっと怖いのは受験生からの評価だ。入学者が定員に達していない状態が続くと、誰でも入れる、いわゆるFランク(低偏差値で誰でも入れる大学)という“烙印”を押されてしまう。

https://biz-journal.jp/2022/09/post_319578.html