https://news.yahoo.co.jp/articles/789f23c07b03912bdf1221b1c9f52287cd4d39eb


 国葬に際し、大学生がインターンシップ(就業体験)として働いていたことがわかった。明海大学(千葉県)では学生が、羽田空港でインターンとして働いた。

 募集要項などによると、募集をしたのは同大のホスピタリティ・ツーリズム学部。「JTBグローバルマーケティング&トラベル」のインターンとして羽田空港で空港業務に就く。期間は研修期間も含め9月24日から29日までの間で、募集人数は30人程度。期間中は「帰宅または私用による外出はできない」。1日1万円の日当が支給されるなどとある。

 インターンシップは多くの大学が取り入れており、対価として給与を払う企業も最近は増えている。

 だが、SNSでこの募集要項が拡散すると<令和の学徒動員だ!><就業中の人間を国葬の期間だけ拘束なんて><大学の見識が問われる>などと炎上。数日後、地元新聞が大学と学部名を出して報道するとさらに話題を呼んだ。

 インターンシップの目的は何だったのか。同大の企画広報課は、こう説明する。

「海外からのお客様を接遇する際のマナーや様々なオペレーション上の対応能力の向上、座学では学べない体験をしてもらうことで、学生の成長が見込めることを期待しています。今回もその一環です」

 教育ジャーナリストの小林哲夫さんは、こう懸念する。

「大学は政府から独立した存在なのに、結果的に大学が国の下請け機関となって人材募集の肩代わりをしました。『学徒動員』と言われても仕方がない。世論調査で反対意見が半数を超える行事への協力要請を大学が受け入れてしまう。これでは大学は国の言いなりとなり、極端に言えば『国策大学』になってしまいます」

 インターンシップへの参加は任意で、義務ではないという。だが、実際に参加した人数や具体的な仕事内容は、「提携先との契約により、回答を控えさせていただきます」(企画広報課)とだけ答えた。(編集部・野村昌二)

※AERA 2022年10月10-17日合併号