【バンコク時事】タイ東北部ノンブアランプー県で、元警官の男が銃や刃物で保育所などを襲い、子供ら36人を殺害した事件で、タイ警察は9日、許可なく保育所に入り、内部を撮影した米CNNテレビの取材班2人に対する法的措置を検討する方針を決めた。

 CNNの取材をめぐっては、タイ外国特派員協会が「報道倫理の重大な違反」との声明を出すなど、批判が相次いでいる。

 CNNは撮影後、血痕が残る内部の様子を放映した。「保育所に非常線がなく、中から出てきた保健職員が撮影できると語った。約15分撮影している間に非常線が張られたので、柵を乗り越えて出た」と釈明している。

 取材班から事情聴取した警察高官は「観光ビザで入国し、観光目的以外の活動をした。罰金を科し、国外退去にする」と説明。「現場は今も立ち入り禁止だ」と強調し、捜査で不法侵入などの違法行為があったと判断した場合は、退去前に裁判にかけられると語った。

 外国特派員協会は「これは特ダネ映像ではない。CNNは米国の重大犯罪現場でも同じ行動を取るだろうか」と問うた。タイ記者協会も「映像は被害者家族を苦しめかねない。心ない行動だ」と批判する声明を出した。

 CNNはウェブサイトから映像を削除。報道が苦痛と不快感を与えたとして「深い遺憾の意」を表明した。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/2e3286380d7053736b2d24a521708761523a580e