【ワシントン=中村亮】米国のバイデン大統領は15日、西部オレゴン州で記者団に対し「ドルの強さについて懸念していない」と述べ、ドル高を容認する姿勢を示した。国内の物価高対策を優先する構えを鮮明にした。

14日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時、1ドル=148円80銭台と1990年8月以来の円安・ドル高水準をつけた。バイデン氏の発言を受け、円安が一段と進む可能性がある。

バイデン氏は「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)は物価高を抑えるために大幅な利上げを相次いで決めた。急ピッチな利上げが新興国経済などに悪影響を及ぼすとの見方が出ているが、バイデン氏の発言はFRBの政策を追認するものだ。

イエレン米財務長官は14日の記者会見で「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制であり、それを支持する」と語り、ドル高を修正する意思がないと示唆した。米国では11月8日に中間選挙を控え、物価高対策が争点になっている。

日本の神田真人財務官は14日、米首都ワシントンで記者団に「過度の変動が繰り返されるときには断固たる対応をとる用意ができている」と語った。足元の円相場について「やや激しい動きだなと考える人は多い」との認識を示した。日本政府・日銀は9月下旬、約24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入に踏み切っていた。

日本経済新聞 2022年10月16日 8:35 (2022年10月16日 9:25更新)
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