旧統一教会と関連指摘の団体や関係者、熊本の自民議員2人に寄付 衆院選や県議選、選挙費用報告書に記載あり


 自民党の木原稔衆院議員(熊本1区)と岩下栄一熊本県議会議員(熊本市1区)が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関連が指摘される団体や、団体の関係者から寄付を受けていたことが2日分かった。両氏の2012年衆院選、15年県議選の選挙運動費用収支報告書に記載があった。

 両氏への寄付は、自民議員と旧統一教会側との関わりを独自調査した共産党県委員会が2日に発表。熊日も選挙運動費用収支報告書で確認した。

 選挙資金の額などを報告する収支報告書によると、木原氏は「世界平和連合」から10万円、岩下氏は「日韓トンネル推進県民会議」の事務局の男性から5万円の寄付を受けていた。熊日の取材に、木原氏は「記憶にない」と回答。岩下氏は寄付の受領を認めた。

 共産党県委は、自民県連の前総務会長で県議会議長の溝口幸治氏(人吉市区)にも言及。18年に東京で開かれた全国地方議員研修会で、溝口氏は「くまもと家庭教育支援条例」を説明するために講師を務めた。「溝口氏の話を聞いた出席者らが研修会費を支払う振込先が、関連団体の平和大使協議会関係者の口座だった」と主張した。

 共産党県委の松岡勝委員長は「常識で考えると、詳しく知らない相手からの寄付は、あり得ない。研修会で講師を務めたのは教団の考えにお墨付きを与えたに等しい」と指摘。自民県連に所属議員と旧統一教会側の関係を調査するよう求める文書を提出した。自民県連は調査に否定的な姿勢を崩していない。(地域報道本部取材班)

■木原氏「記憶にはない」/岩下氏「便宜図っていない」

 2012年衆院選の選挙運動費用収支報告書に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関連が指摘される「世界平和連合」からの寄付を記載していた木原稔衆院議員は2日、10万円の受領について「記憶にはない。当時の出納責任者が他界しており、事情を聞けない」とコメントを出した。

 岩下栄一県議は15年県議選で日韓トンネル推進県民会議の事務局男性から寄付された5万円について「個人的な付き合いの範囲内で資金提供を受けた。当選後に旧統一教会に便宜を図ったことはない」と強調。男性とは同郷で「10年余りの親交がある」と説明した。

 18年の全国地方議員研修会で講演していた県議会の溝口幸治議長は「旧統一教会と関連がある研修会とは知らなかった。主催者から依頼されたので、講師を引き受けた」と話した。

 旧統一教会側との接点を巡っては、自民党本部が9月に国会議員への聞き取り調査結果を公表。木原氏は関連団体の会合に「議員本人出席で講演」した一人だったが、寄付を受けた議員には含まれていなかった。

 これについて、木原氏は「政治団体の収支報告書の保存期間3年を超える資料は見る必要がないと判断した。過去の資料をさかのぼって調査する」とした。

 県内の地方議員を対象に熊日が9月に実施した接点アンケートでは、献金の有無を聞いた質問に、岩下氏は「ない」と記載。溝口氏はアンケートに回答しなかった。(地域報道本部取材班)

熊本日日新聞 | 2022年11月3日 08:30
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