2022年11月02日

Mr.tsubaking

バス停にある、誰が置いたかわからないイス。筆者はこれを「野良イス」と名付け、300枚以上の写真に納めてきた。室内にあるべきイスが外に置かれている異物感と、不揃いな様子の可愛らしさにカメラを向けてきたのだが、この存在を見つめるにつけ、その背景には社会問題も潜んでいることがわかってきた。今回は、世界で唯一「野良イス」の写真を集めている筆者が、その魅力と、社会の中での微妙な立ち位置についてお伝えする。




野良イスの何が魅力なのか

 2016年頃、自宅近くのバス停に並んだイスを眺めていると、不揃いで可愛いと感じるのと同時に、哀愁のようなものを感じた。その根源をよくよく考えてみると、「本来の役割ではないことを頑張っている」からだと気がつく。本来は家庭やオフィスなど、”室内”で働くために作られ、どこかで、その仕事を全うしてきたであろうイスたち。  
それがやがて不要になり、表に出される。受けるはずのなかった”屋外”の雨風にさらされながら、健気にそこで、第二の人生ならぬ第二のイス生を過ごしている姿が、横溢する哀愁の源だと気がついたのだ。  
若い頃はホワイトカラーでバリバリと働いていた男性がおじいさんになり、今はシルバー人材サービスなどに登録して、駐輪場などで働いているあの感じ。




街が見守る存在
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