高度な先端技術の流出防止や、医薬品など経済や生活に欠かせない重要物資の確保などをねらう経済安全保障推進法が11日、参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。政府が企業の設備を審査するほか、先端技術研究にも関与し、罰則も設けるなど国の介入を強めるものだ。公正で透明な運用をどう担保するかなどの課題があったが、国会審議で煮詰まらなかった。

 経済安保法は、医薬品や半導体などを安定的に確保するサプライチェーン(供給網)の強化、サイバー攻撃に備えた基幹インフラの事前審査、先端技術の官民協力、原子力や高度な武器に関する技術の特許非公開――の4本柱からなる。違反した企業などには最大で「2年以下の懲役か100万円以下の罰金」が科される。2023年以降、段階的に施行される見通しだ。

 岸田政権が同法の整備に動いた背景には、米国と中国との先端技術をめぐる覇権争いがある。「軍民融合」を掲げる中国は民間の先端技術を積極的に軍事面に採り入れてきた。警戒を強めた米国のトランプ前政権は、中国通信大手・華為技術(ファーウェイ)が、中国の軍の影響下にあるとして、同社への半導体の輸出規制を強化した。日本でも自民党が主導し、情報や高度な技術が流出しないための法整備を求める声が強まっていた。

 ただ、サプライチェーン強化の対象物資や基幹インフラの対象設備、特許非公開となりうる先端技術などは法律に具体的に記載されていない。国会審議では、政府が成立後に政省令で決める項目が138カ所もあることが明らかになった。

 とくに経済界が最も規制色が…(以下有料版で、残り410文字)

朝日新聞 2022/5/11 12:50有料記事
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