11月04日 12時32分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20221104/3020013221.html

金沢大学の研究チームが、足のふくらはぎの筋肉に電気的な刺激を与えることで、認知症の進行を防ぐ効果などが期待される物質が、体内で多く合成されるという、新たな研究結果をまとめました。

認知症や神経の難病のメカニズムを研究している、金沢大学の西川裕一助教が、着目しているのは、記憶に関わる脳の海馬と呼ばれる領域でおもに見られる「BDNF」というたんぱく質です。
BDNFは、神経細胞の成長に関わる物質で、筋力トレーニングなど、筋肉に負荷をかける運動を行った際、体内で合成され、脳の認知機能を維持したり、改善したりする働きがあるとされています。
認知症の治療への効果も期待されていますが、身体機能の衰えた高齢者の場合、負荷をかけた運動が難しいのが課題でした。
今回の西川助教の研究では、足のふくらはぎの筋肉に、電気的な刺激を与えることで、負荷の大きな運動をした場合よりもさらに長い時間、血中のBDNFの濃度が高い状態で保たれることが実証できたということです。

この研究結果は国際的な生理学の雑誌、「EuropeanJournalofAppliedPhysiology」の電子版に、掲載されています。
西川裕一助教は「今後は電気の周波数や刺激を与える時間によって、BDNFの血中濃度がどう変化するかなどさらに研究を重ね、認知症治療につながる条件を探っていきたい」と話しています。