主に中小企業の社員とその家族ら約4000万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)が、昨年10月に支払った傷病手当金を調査したところ、精神疾患が原因だったケースが全体の約3分の1を占め、統計が残る1995年以降で最多だったことがわかった。特に20~30歳代では5割前後が精神疾患が原因だった。

 傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事を休んだ場合に、休業中の生活を保障するために健康保険から支払われる。労働災害が認められれば、労災保険が適用される。協会けんぽでは全体の傾向を把握するため、毎年、10月に支払った傷病手当金の状況を調査しており、今回は約15万5000件の状況をまとめた。


 受給原因を傷病別に見ると、うつ病などの精神疾患が分類される「精神及び行動の障害」が約33%と最も多かった。1995年には全体の約4%だったが大幅に増えた。件数自体も昨年は約5万1000件と、公開されている2010年以降で最多だった。

 5歳ごとの年代別に原因となった傷病の構成割合を見ると、精神疾患は25~29歳で約51%と最も高く、30~34歳の約49%、20~24歳の約48%が続いた。

 慶応大の山本勲教授(労働経済学)は「メンタル不調への認識が深まった結果、病院を受診する人が増え、精神疾患の発見率が高まっている」と指摘する。その上で、「従業員が回復した後、職場復帰をどのように支援するか考えることも重要だ」と話している。

読売新聞 2022/11/08 13:10
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221108-OYT1T50059/