[東京 9日 ロイター] - SMBC日興証券の集計によると、TOPIXを構成する3月決算企業の2023年3月期の通期純利益予想は前年比8.7%増の44兆5300億円と、過去最高を更新するペースになっている。欧米などの景況感悪化が意識される中にありながら、国内企業が堅調な業績を見込んでいる様子がうかがえる。

8日までの発表分(822社、開示率56.9%)に、今後発表する企業の従来予想を加味して試算した。円安効果が押し上げに寄与する一方、「一部の企業ではコスト増のデメリットが出てきており、まちまちの展開になりつつある」と、SMBC日興証券株式調査部の安田光氏は指摘する。

8日までに開示された企業の予想を集計すると、前年比3.7%増となる。金融を除くと4.2%増。内訳は、製造業が同2.0%増の一方、非製造業は同7.4%増となっている。

純利益ベースの会社予想で上方修正を発表したのは223社で、下方修正は109社だった。上方修正の比率は約27%で、過去の平均19.5%と比べても高い水準という。会社予想がもともと保守的だったほか、前提為替レートが第1・四半期決算時点で122円40銭と、実勢レートとの乖離が大きかったことが背景。足元では129円10銭引き上がっているが、実勢レートに対しては引き続き円高寄りとなっている。

2022年4―9月期実績の純利益は12.5%増で、金融を除けば14.2%増となっている。製造業が3.0%増、非製造業は30.1%増で、非製造業の寄与が大きかった。

非製造業では、海運業、卸売業、陸運業、空運業の寄与が大きく、海運と卸売は、円安効果や運賃、資源高がそれぞれ追い風となった。陸運や空運は、国内で経済再開(リオープン)の動きが強まってきたことが背景の一つ。10月以降に水際対策が緩和され、今後も内需株に追い風が見込まれる。

製造業の上位は化学や機械、石油・石炭製品、鉄鋼となっており、円安効果が支援するセクターとなる。一方、原材料や輸送費といったコスト増のネガティブ効果もあって、製造業全体の伸びが抑制されており「きちんと値上げしていけるかが重要」(安田氏)と指摘される。

輸送用機器は14.5%減だが、金額の大きいトヨタ自動車の減益予想の影響が大きく「各社別では全般的にコスト高に対応できているようだ」(安田氏)という。足元では半導体不足の影響が解消に向かい、生産回復が見込まれる。これに伴い、自動車関連の製品を扱う電子部品も堅調と受け止められている。

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