2022/11/15 12:28

 福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」は、人工飼育していたメヒカリの体内から全国で初めて卵を発見した。同館は謎に包まれたメヒカリの生態解明につながると期待している。

 メヒカリは青森県から鹿児島県までの太平洋側の水深200メートルに生息する深海魚で、和名は「アオメエソ」。雌雄同体で、卵巣と精巣を同時に持つ特徴がある。常磐沖は全国有数の漁場で、干物や揚げ物にして食べられ、福島県民にも古くから親しまれている。

 同館でメヒカリを研究している山内信弥さん(48)によると、メヒカリは0歳魚の冬から2歳魚の秋まで福島県沖に滞在した後、姿を消す。南方へ回遊していると考えられ、何年くらい生きるかは解明されていない。深海から漁獲されるメヒカリは性的に未成熟で、繁殖のメカニズムについてもよく分かっていない。

 2001年、メヒカリがいわき市の「市の魚」に制定されたことがきっかけで、同館は02年から研究をスタート。これまで約40個体を飼育展示し、中には7年以上生きて、おなかが膨らんだ個体もいたが、生殖器の発達は確認されていなかった。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20221115-OYT1T50084/