伊神 賢人 日経クロステック/日経コンピュータ

2022.11.18

日本薬剤師会の電子版お薬手帳がサービス運営体制の岐路に立たされている。2022年6月、開発・運営を担うNTTドコモからサービス終了を告げられたためだ。日薬は「お薬手帳を扱う事業者としてあってはならない判断」と不満を示すが、ドコモを相手取った訴訟の提起などは検討していないとする。代替サービスの構築を含め、今後の対応について2022年内に結論を出す考えだ。

 「継続的な薬学管理の重要なアイテムであるお薬手帳を扱う事業者としてあってはならない判断だ」――。

 日本薬剤師会が提供する電子版お薬手帳「eお薬手帳」が終了の危機に直面している。2022年6月、開発・運営を担うNTTドコモから突如、サービス終了の方針を告げられたためだ。日薬は2022年8月30日、各都道府県の薬剤師会担当役員に送付した文書で冒頭のように不満をあらわにした。

 電子版お薬手帳は2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに必要性の認識が広まり、実用化が進んだ。紙のお薬手帳を持ち出す余裕がなく避難した被災者でも、常に持ち歩くスマートフォンなどにお薬手帳の機能があれば普段服用している医薬品やアレルギーなどを迅速に確認できる。慢性疾患や持病を抱える人にはライフラインにもなり得る。日薬とドコモの間で一体、何があったのか。




基本合意から4年で提供終了へ
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