COVID-19による呼吸器症状は確かにインフルエンザや感冒と同じ程度に変化しています。勤務している病院の感染症病棟でも入院患者は増えましたがCOVID-19が直接の原因で亡くなる人は今年はまだ居ません。
しかし、だからといって感染して大丈夫と安易に考えないでほしいと思っています。
COVID-19に感染したために適切な医療が受けれない現状があるからです。
感染症病棟の病床数と看護師の人数には限りがあります。満床でなくとも重症度などから
今入院している患者の安全を守ることが困難な勤務状況であればCOVID-19感染患者の受け入れは断っています。
そのためCOVID-19罹患している場合、くも膜下出血や心筋梗塞など命に関わる状態でも救急搬送を受け入れてもらえない、腹痛などの症状で受診先を探しても見つからず、救急車を呼んだとしてもたらい回しにされ、不搬送か運良く受け入れ先が見つかっても診断と治療が遅れ、虫垂炎が穿孔し腹膜炎や敗血症などの重篤な状態に移行してしまう、基礎疾患が悪化して受診したくても、かかりつけ医でさえも受診を断られること、無症状でも入院時のCOVID-19スクリーニング検査で陽性となり予定入院が取消しになったり、化学療法を受ける予定の患者は免疫抑制の観点から3週間程度、血液内科の患者では半年もの間免疫が回復せずに治療ができず悪性疾患が進行してしまうことが起こっています。
またCOVID-19と診断されていなくても、発熱や湿性咳嗽がある患者やワクチン未接種の患者は罹患している可能性が高く救急搬送先が見つからず不搬送事例も増加している状況です。
確かにCOVID-19は軽症状で済むかもしれませんが、感染期間中に他の疾患に罹った際に通常の医療が受けることができない可能性があることを忘れないでほしいです。