世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者らが23日、東京都内で記者会見し、政府が成立を目指す高額献金などの被害者救済法案について「被害実態と乖離かいりしており、このままでは被害者ではなく統一教会が救済されるだけだ」として見直しを求めた。
 会見したのは実名や性別を伏せ、交流サイト(SNS)で被害実態を発信してきた2世の元信者ら5人。政府案では献金の規制対象が「個人から法人」に限定され、マインドコントロール(洗脳)下での献金は規制していない。
 「Vtuberデビル」の名で活動する2世は、「信仰が深い人ほど自分で思考することを放棄し、使命感によって献金してしまう。集金方法も証拠が残らない形に年々変化しており、今の法案は救済の間口を狭めている」と指摘した。
 家族らが献金を取り消す権利を巡っては、法案では本来受け取れるはずだった養育費などの範囲に限られており、高橋みゆきさん(仮名)らは「われわれの親の被害額は数千万や億単位なのに、月数万円程度しか請求できない。誰が権利を行使するのかイメージできていない」と嘆いた。
 現状では多くの被害者が取りこぼされるとし、山本サエコさん(仮名)は「被害者の声を聞いていないことが理由の一つ。政府には幅広く被害者の意見を聞いてほしい」と訴えた。(太田理英子)

東京新聞 2022年11月23日 18時33分
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