板倉大地、椎木慎太郎

2022/11/24 18:00

 各地の市民マラソンで参加費が高騰している。かつては1万円前後が相場だったが、新型コロナ感染症の流行による中止を経て再開後は値上げが相次ぎ、2万円を超す大会も。いったいなぜ? ランナーが参加を控える動きも目立ち、人気大会が定員割れとなるほど影を落としている。(板倉大地、椎木慎太郎)

市民マラソンの参加費高騰は、参加するランナー、そして家庭にも影響を及ぼしていました。記事の後半では、東京や大阪、福岡など各地の大会で値上がりする背景や、ランナーの川内優輝選手の話を紹介します。





「完走できなければ出場禁止」 妻と約束し夫は挑んだ

 「完走できなかったら、県外の大会は今後出場禁止ね」。熊本市の山崎文美さん(40)が、夫の英亜(ひでつぐ)さん(43)に告げたのは10月末。11月13日に開かれる福岡マラソンに向けて夫が練習を始めていたころだ。

 3年前の前回出場時は長女が生まれてから初めてのフルマラソンで、一緒に沿道から応援したが、30キロ付近の「関門」を閉鎖時刻までに通過できず、完走できなかった。「リベンジ」を誓う夫を、長女と応援しようと決めたが、大会が近づくと費用が気になった。

 参加費は前回から3600円上がっていて、1万6400円。「気軽に払える額じゃない。もはや市民マラソンとはいえない」と申し込まない友人もいた。
参加者は前日夜までに福岡市で受付をしないといけないので宿泊が必要だ。新幹線代や食事代もかさむ。夫は今後もマラソン大会に出る意欲を見せており、「決め事がないと、お金ばかりかかってしまう」と考えた。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASQCR71R6QCQTIPE006.html