ウクライナの国営原子力企業「エネルゴアトム」のコティン総裁は27日、ロシア軍が占拠を続ける南部ザポロジエ原発から同軍関係者らが撤収する可能性があるとの見方を示した。国営テレビで語った。

 ロイター通信によると、コティン氏は「ここ数週間、彼ら(ロシア軍関係者)が退去の準備をしている兆候があるとの情報が入ってきている」と述べた。「ロシアのメディアでは、原発を明け渡し、国際原子力機関(IAEA)の管理下に移すべきかもしれないとする報道がとても多い」とも語った。

 ザポロジエ原発はロシアの侵攻開始から間もない3月にロシア軍に占拠され、9月に稼働を停止した。敷地内などに砲撃が相次ぎ、原子炉冷却に必要な外部電源を複数回にわたり喪失。原子力災害のリスクが懸念されている。今月23日にも外部電源の遮断が判明したが、翌日に再接続された。所長や副所長が一時、ロシアに拘束される騒ぎも起きている。

 IAEAの理事会(35カ国)は17日、ロシアに対しザポロジエ原発から軍関係者やほかの人員をただちに撤退させるよう求める決議を採択している。【ブリュッセル岩佐淳士】

毎日新聞 2022/11/28 04:24(最終更新 11/28 08:36) 472文字
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