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最も多く寄せられる質問は、「ワクチンを打つと感染増強抗体により、かえって感染が重症化するのではないか」という質問だった。

荒瀬教授はこのように答えているという。

「感染増強抗体で重要なのは、中和抗体が十分にあれば作用しないということです」

感染増強抗体は、ワクチンだけではなく、ウイルスに感染しても産生される。そして、中和抗体の量は感染で産生される値より、ワクチンでのほうが高くなるという。

「中和抗体量と感染増強抗体量は比例します。軽度に感染した人より、ワクチンを打った人のほうが感染増強抗体も中和抗体もたくさん増える。ただし、重要なのはそれらの差ではなく、ある一定以上の中和抗体ができると感染増強抗体が作用しないということです(図1)。例えば中和抗体が10産生されれば、感染増強抗体が100でも1000でも問題がない。だから、中和抗体があるレベルまで産生されることが重要で、現状では感染増強抗体がワクチンによって悪さをするわけではないため、接種するメリットがあると思います」