※2022.12.16 08:40
高知新聞社

 2011年の献金は高知が全国1位―。高知と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりを調べていた本紙取材班は、8月発売の週刊文春に掲載されたランキングにくぎ付けになった。記事には、フリーライターの石井謙一郎さんが教団の内部文書を手に入れたとある。取材班は東京へ向かった。

復興局報告
 「教団内の情報提供者がなるべく拡散してほしいと言っていた。コピーしていいですよ」。約30年にわたって教団取材を続ける石井さんが4種類の内部文書について解説してくれた。

 まず「復興局報告 2012年1月5日」と記された15ページの文書。教団では献金のことを「復興」と呼び、復興局は集金を担う部署だという。3ページ目があのランキングだった。

 当時、北海道から九州まで12の地区(JK)に分けられ、その下に64の教区(KYK)、さらに下に287の教会(CH)があった。「B」は献金総額から人件費など運営費を差し引いた額で、〝純利益〟に当たるものだという。

 表は「B」の目標達成率を順位付けしたもので、地区別では四国(第10)が136%で全国1位、教区別は高知が272・1%で1位だった。金額は明らかにされてないが、高知は目標の2・7倍の〝純利益〟を出したことになる。

 次に開いた文書は「KPI結果」。KPIとは企業が業績を評価する際に用いる指標のことで、旧統一教会創設者の故・文鮮明(ムンソンミョン)氏の四男が日本の責任者だった時代にこのシステムをつくったという。献金額や礼拝参加者数など項目ごとに細かく得点が決められ、それを基にしたとみられる11年の教会別の実績一覧表も付いていた。

 1位から283位まで全国の教会がずらり並び、総合順位は「高知中央」が4位、「高知東」が15位だった。項目別のトップ5もあり、復興は「高知東」が5位となっていた。

 教団側はこれらの資料について「当法人が作成したものではない」と主張するが、データの細かい分析はまるで大手企業の営業成績表のよう。「旧統一教会は宗教の仮面をかぶった政治経済団体だ」―。教団と対峙(たいじ)する弁護士やジャーナリストから何度も聞いた言葉がうなずけた。

 「高知のランクが高い理由は分からないが、献金集めに熱心だったのは間違いない」と石井さん。教団が「コンプライアンス(法令順守)宣言」を出した09年以降は、霊感商法がやりづらくなって信者からの献金集めが顕著になったと指摘し、こう続けた。

 「家を担保に金を借りさせたり、カードローンをさせたりして信者に献金させる。地方では土地を売らせることもよくあります」

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