ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は21日、米首都ワシントンのホワイトハウスを訪問し、バイデン大統領と会談する。米政府高官が20日、明らかにした。ゼレンスキー氏は連邦議会で演説もする。バイデン政権は訪問に合わせ、米国の地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を発表する予定で、ウクライナ支援の強い決意を国内外にアピールする。

 ゼレンスキー氏がウクライナ侵攻が始まった2月24日以降、外国を訪問するのは初めて。

 米政府高官によると、バイデン氏は首脳会談で、パトリオットを含めた約20億ドル(約2650億円)の追加軍事支援を表明する。エネルギー関連のインフラ施設に対するロシアの攻撃に対抗するため、防空システムの供与を強化し、同盟国とともにウクライナが必要な限り支援を継続することを強調するという。

 首脳会談後、ゼレンスキー氏は連邦議会の上下両院合同会議で演説に臨む。これまでの経済や軍事、人道支援などに謝意を示すとともに、さらなる協力も要請する見通し。1月の新会期から下院で多数派となる共和党の一部や民主党急進左派の中には巨額の軍事支援を疑問視する見方もあるため、超党派の支持継続を訴える見通しだ。

 パトリオットの供与について、米政府高官は、米軍が第三国でウクライナ軍に操縦の訓練を提供すると明らかにした。ドイツにある米軍基地で実施されるとみられる。パトリオットは米軍の主力の防空システムで、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイル、一部の航空機などを撃墜できる。高官は「ゼレンスキー氏の訪問は、米国が断固としてウクライナを支え続けるというプーチン露大統領への意思表示であり、世界へのメッセージだ」と強調した。

 今回の訪問計画は、バイデン氏とゼレンスキー氏が11日に電話協議して、可能性が話し合われた。バイデン政権が14日に正式に招待し、18日に確定したという。両氏はたびたび電話で協議をしているが、対面による会談は、ゼレンスキー氏が2021年9月にホワイトハウスを訪問して以来になる。ゼレンスキー氏は侵攻開始後の3月に米連邦議会でオンライン形式の演説を行っている。【ワシントン鈴木一生】

毎日新聞

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