焦点:欧州大手撤退でロシア通信事情悪化へ、市民の日常に打撃も
ロイター2022年12月29日2:52
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-telecoms-idJPKBN2TA047

[ストックホルム/モスクワ 21日 ロイター] - 通信機器メーカーのノキア、エリクソン両社がこの年末にロシア市場から撤退する。これが長期的にロシアのモバイルネットワークを着実に劣化させ、一般のロシア国民にとっても通信事情の悪化が始まる可能性がある。
ロイターが電気通信企業の経営幹部5人をはじめとする業界関係者から話を聞いたところ、ロシアの携帯電話ユーザーは、ダウンロードやアップロードの速度低下、通話途絶の増加、接続不能、サービス停止の長期化に悩まされる可能性があるという。通信事業者によるソフトウエア更新やパッチ(修正ソフト)適用ができなくなり、在庫が減少する交換部品の争奪戦が起きるためだ。
通信機器市場においてエリクソン、ノキア両社が占めるシェアは大きい。ロシア国内の基地局に占めるシェアは両社合わせて50%に迫り、通信用アンテナからデジタル信号伝送用の光ファイバーを接続するハードウエアに至るまで、あらゆる通信関連機器を製造している。

また、ネットワークのさまざまな部分を協調して動作させるために欠かせないソフトウエアも供給している。
エリクソンのカール・メランダー最高財務責任者(CFO)はロイターの取材に応じ、「当社は(対ロシア制裁の)適用除外措置が全て期限切れとなる年末に向けて、(撤退の)準備を進めている」と語った。エリクソンは、スウェーデン当局から対ロ制裁の適用を除外されていた。
ノキアのペッカ・ルンドマルク最高経営責任者(CEO)も、あるインタビューで同じ見解を表明した。「撤退を完了する予定だ。何もロシアに提供しないことになる」
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて各国政府は対ロ制裁・輸出規制を科したが、ロシア経済はこれまで何とか耐え忍んできた。だが、ノキアとエリクソンがまもなく撤退するとなれば、ロシアにおける日常生活はこれまで以上に深刻な衝撃を受け、いずれは電話をかけるといった簡単なことまで困難になる可能性がある。
ロシアのデジタル担当省はタス通信に対し、ロシアは通信機器の不足には陥っておらず、ノキアとエリクソンの撤退による通信品質への影響はないだろう、と述べている。

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