産経新聞 2023/1/2 17:00
https://www.sankei.com/article/20230102-QGIZE7NVMZNFLOAGEGE4G3IOAA/


今年7月からの販売を予定していた2025年大阪・関西万博の前売り入場券の販売開始時期が、9月以降にずれ込む見通しとなっていることが2日、分かった。

入場料収入で大半を賄う運営費に上振れの懸念が出ており、本来は令和4年中に決定するはずだった入場券制度が固まっていないことが要因。
完全無料を予定していたオンライン上の「バーチャル万博」も課金方式とする案が出ている。

当初の計画では、開幕2年前の5年4月ごろから入場券の前売りを始めるとしていた。
その後、スケジュールに変更があったが、万博を運営する日本国際博覧会協会は、4年秋に入場券案をまとめて国の了承を受け、5年7月から販売を始める方針で動いていた。

協会は4年夏時点では「大人6千円」を軸に、入場者数が少ない開幕直後は半額にするなど複数の割引制度を織り込んだプランを描いていた。
この「大人6千円」は、運営費が当初より約60億円高い約870億円を見込んだことから、博覧会国際事務局(BIE)に提出した「登録申請書」に記載していた4800円から約2割引き上げたものだった。

しかし、入場券の売り上げで大半を賄う運営費が物価高などの影響でさらに上振れする恐れが出ているため、協会内ではこの料金設定でも運営費が賄えないのではないかとする意見が浮上。
結局、入場券案を4年中に決定することができなかったため、入場券の発売開始が5年9月以降にずれ込む見込みとなった。
協会は現在、大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」のチケット料金も参考に、4年夏時点のプランよりも料金を引き上げる方向で検討している。

この状況を受け、リアルの万博会場とは別にオンライン上で展開するバーチャル万博でも収入を得る方向で調整が進んでいる。
バーチャル万博は利用者が自身のアバター(分身)で入場し、リアル会場を再現した空間を散策できる。
バーチャル万博の入場を無料とする方針に変更はないが、各パビリオンの入場やイベントで課金する方法を探っている

関西財界首脳は「入場券は機運醸成のためにも絶対に5年中に販売を開始しなければならない。ただ、急ぐあまり万博成功に向けた料金設定が不完全なものになっても困る」と話している。