広島県医師会が9月に発行した「救急小冊子 知っておきたい新型コロナウイルス感染症の後遺症」 を執筆された
広島市立広島市民病院の松村俊二・総合診療科部長に新型コロナウイルスの後遺症についてうかがいました。


Q後遺症が起きる原因はなんですか

Aテレビのニュースなどに登場する新型コロナウイルスの写真を見ると、表面に無数の突起が並んでいるのが分かります。
この突起が人間の細胞の表面にある特定のタンパク質と結合すると、ウイルスが細胞に侵入して感染します。

ウイルスが侵入すると、1)細胞そのものが破壊されたり、2)血栓を作って循環が悪くなったり、
3)炎症を起こした部位からサイトカインという炎症性物質が血液中に放出され、さまざまな臓器に損傷を与えます。

この特定のタンパク質は鼻や口の粘膜のほか、肺や脳、心臓、小腸などあらゆる臓器に存在するため、症状も全身に現れます。
この症状が重症だったり長引いたりした時に、後遺症が現れると考えられます。


Q代表的な症状にはどんなものがありますか。

A代表的な症状は、以下に挙げる主に4種類に分類されます。
・呼吸器症状:咳、喀痰、息切れ、胸痛
・全身症状:倦怠感、関節痛、筋肉痛
・精神・神経症状:記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ
・その他:嗅覚・味覚障害、動悸、下痢、腹痛など

先の見えない状態は患者さんにとってつらく心配なことです。一生治らないのかと心配している人が多いので、
診察の際にはまず「時間はかかるかも知れませんが、必ず良くなりますよ」と声をかけて安心してもらうように心がけています。

Q年齢や性別で後遺症の現れ方に差はありますか

A広島県が2020年3月から2021年10月に行ったアンケート調査(回答954人)では、後遺症の割合が最も高いのは40〜50歳代で52〜54%、
次いで60歳代以上で30〜39%、10歳代では7〜16%、20〜30歳代では25〜30%でした。性別による差はありませんでした。

ほかに、感染したときに重症であるほど後遺症が起こる割合が高いことや、感染時の症状が五つ以上あったり、
肥満や基礎疾患がある人、喫煙者、ワクチン未接種者においても後遺症の割合が高いことが分かりました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d117989d2333fea497642b17006c75bb9d69999