安倍晋三元首相が昨年7月、参院選の街頭演説中に暗殺された事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(42)が犯行に使った銃を含む複数の手製銃について、奈良県警が殺傷能力を確認していたと、産経新聞が7日朝刊で報じた。県警は手製銃が銃刀法の禁じる「拳銃等」に該当すると判断し、銃刀法違反(発射)や武器等製造法違反(無許可製造)などの容疑で追送検する方向という。事件は8日で発生から半年となるが、多くの謎が残っている。

捜査関係者によると、銃撃に使用された手製銃は長さ約40センチ、高さ約20センチ。砲身である金属の筒2本が木製の板とビニールテープで固定されていた。6個の金属製の弾が入ったプラスチック製カプセルを筒内に装塡(そうてん)し、電流で火薬に着火させると6発の弾が出る仕組みだった。

このほか、県警は容疑者の自宅などから手製銃7丁や火薬類を押収した。山上容疑者は県警の調べに、火薬は自分で調合したと供述した。

県警は科学捜査研究所などの鑑定で、銃撃に使われた手製銃や押収した手製銃の一部について、殺傷能力があることを確認した。一方、一部の手製銃では殺傷能力が確認できなかったという。

山上容疑者は事件当時の精神状態を調べるため、10日まで大阪拘置所で鑑定留置中。奈良地検は鑑定結果などから刑事責任能力があると判断しており、勾留期限の13日までに殺人罪で起訴するとみられる。

ただ、母親が献金を繰り返した旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と密接な関係がある安倍氏を狙ったという容疑者の犯行動機は不可解で、「第三者の介在や関与、影響」があったのではという疑いは残る。

さらに、安倍氏には銃弾2発が当たったが1発が行方不明のうえ、安倍氏が緊急搬送された奈良県立医科大学付属病院の説明と、県警による司法解剖の結果に食い違いが指摘されるなど、事件の謎は数多く残っている。

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