政府は、国家公務員の出張旅費に関する基準を定めた旅費法の改正に向け検討に入った。円安や物価高の影響で海外出張費が高騰。高額の立て替えや自己負担も頻発し、見直しを求める声が強まっていた。

 関係者が8日、明らかにした。既に財務、外務両省が協議を開始。来年の通常国会に改正案を提出、成立を目指す。
 旅費法は1950年に制定。定額の宿泊費や日当の規定は84年以来改定されていない。ワシントンやロンドンなど最高ランクに当たる「指定都市」の宿泊費は、事務次官や局長級で2万5700円、課長補佐級で1万9300円、一般職員で1万6100円。「現地の実態に合っていない」(外務省幹部)との不満がかねて根強い。
 最近のインフレや為替の影響も大きい。首相外遊に同行経験のある外務省職員は「定額の宿泊費では全然足りず、立て替えが数十万円に上って借金した」などと窮状を訴える。旅費法46条は不足分について、財務相との協議を経て支給できるとしているが、徹底されているとは言い難く、自腹を切るケースも少なくないという。
 外務省は昨年12月、制度の見直しに向けて「外交活動の基盤強化プロジェクトチーム(PT)」を新設。座長を務める武井俊輔副大臣は「機動的な外交活動を行うためには環境整備が不可欠だ。職員が自己負担を余儀なくされることはあってはならず、早急な是正が必要だ」と強調する。
 PTは今後、旅費法の改正に加え、海外勤務の外交官に支給する在勤基本手当や子女教育手当などの見直しも検討する方針だ。

時事通信 2023年01月09日08時07分
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