野党・共和党が多数派を占めるアメリカ議会下院に、中国の経済力や軍事的な脅威に対抗するための特別委員会の設置が決まり、
今後、中国に対するアメリカの姿勢は一段と強硬になる可能性もあります。

アメリカ議会下院では10日、中国に関する特別委員会の設置について採決が行われ、超党派の支持を得て、賛成多数で設置が決まりました。

この特別委員会は、去年の中間選挙で多数派を奪還した共和党のマッカーシー下院議長が選挙の公約として設置を掲げていたもので、
アメリカに対する中国の貿易上や軍事的な脅威に対抗するとしています。

具体的には、経済面での中国依存の見直しや、アメリカ国内のサプライチェーン=供給網の強化、それに知的財産の保護などに向けて調査や政策提言を行うとしています。

採決に先立ち、議会で演説したマッカーシー議長は、「共産主義者の中国が突きつける脅威は深刻だ。
特別委員会の設置は、こうした脅威に対応する最もよい方法だ。われわれはこれ以上、中国に依存せず、中国に対し、ぜい弱であることもない」と強調しました。

アメリカ議会下院はバイデン政権に対し、これまで以上に、対中国政策で強硬姿勢をとるよう求めるものと見られ、
今後、中国に対するアメリカの姿勢は一段と強硬になる可能性もあります。

保守系のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員で、アジアの安全保障に詳しいザック・クーパー氏は、
NHKのインタビューに対し、アメリカの新しい議会は中国に一段と強硬になる可能性が高いとの見方を示しました。

この中でクーパー氏は「ワシントンでは今、民主・共和両党とも中国に強硬だと見られたいと考えているが、
共和党はその競い合いをさらに過熱させることになる」と指摘しました。

また、新たに設置されることになった中国に関する特別委員会の委員長に指名されたギャラガー議員については、
「中国の問題で議会では最も好戦的な議員だ。彼らは台湾への軍事支援やアメリカ軍の戦力強化、アジアの同盟国との関係強化、
そしてサプライチェーンの技術に関する規制と言った幅広い分野で法整備を進めるはずだ」と分析しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230111/k10013946441000.html