【ワシントン=大内清】米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は17日、ロシアの侵攻を受けるウクライナ軍のザルジニー総司令官とポーランドで会談した。両者が対面で意見交換するのは初めて。ウクライナ軍は今春にも大規模な反攻作戦を開始するとみられており、ザルジニー氏は会談でさらなる支援策を要請したものとみられる。

ザルジニー氏は声明で、会談では「勝利に向けて緊急に必要なものの概要を説明した」と述べた。同氏は昨年12月、英誌エコノミストに対し、ロシア軍に打ち勝つには「戦車300両、歩兵戦闘車600~700両、榴弾砲500門が必要だ」と指摘している。

米国は今月、ブラッドレー歩兵戦闘車50両を含む約30億ドル(約3850億円)の追加軍事支援を発表したが、ウクライナ側の求める兵器の質・量とは大きな開きがある。ウクライナとしては、軍トップ同士の信頼関係を強め、さらなる支援を引き出したい考えだ。

ウクライナ軍にとっては防空態勢の強化も焦眉の急だ。今月14日に東部ドニエプロペトロフスク州の州都ドニプロの集合住宅に着弾した露軍のミサイル攻撃では少なくとも住民40人が死亡。露軍はウクライナ国民の士気をくじくため、各地の電力インフラへの攻撃も継続している。

一方、米軍は17日、オクラホマ州の陸軍施設フォート・シルでウクライナ兵約100人に対する地対空ミサイルシステム「パトリオット」の使用訓練を開始した。訓練には数カ月を要する見通し。かねてウクライナが熱望してきたパトリオット配備が実現することで、両国の協力関係の強化が期待される。


AP通信によるとドイツ国内で15日、ウクライナ兵約500人を対象に、歩兵部隊と火砲、戦闘車を効果的に連携運用するための訓練が始まった。米軍は昨年末までに約3100人に訓練を施し、今後はその規模を拡大させる方針。国防総省は17日、オースティン国防長官とミリー氏が19日、独西部のラムシュタイン米空軍基地で対ウクライナ軍事支援を協議する関係国会合を開くと発表した。

産経新聞 2023/1/18 09:44
https://www.sankei.com/article/20230118-3QERC6T6UZOPBNS6IOLPX6FXJ4/