自民党は19日、防衛費増額に向け、税以外の財源捻出を検討する特命委員会の初会合を党本部で開き、議論をスタートさせた。岸田文雄首相は2022年末に防衛力強化のための増税を決めたが、党内には増税反対派の不満が依然くすぶる。特命委が今後、政府・与党内の路線対立再燃の舞台となる可能性もある。

 「防衛費の財源について、もう少し腰を据えて議論をすべきだとの発言が多数寄せられた」

 会合の冒頭、委員長に就任した萩生田光一政調会長は委員会設置の趣旨を説明し「防衛力強化の取り組みが絵に描いた餅にならないよう、責任ある議論を行う」と語った。

 政府は27年度以降に不足する防衛費財源約4兆円のうち、3兆円程度を歳出改革や決算剰余金などで確保し、残り1兆円強を増税で賄う方針を既に決めている。財源確保を巡る議論の過程では、自民党内で最大派閥の安倍派を中心に増税への異論が噴出。増税時期の決定は先送りする玉虫色の結論となった。

 特命委は安倍派幹部の萩生田氏の下で、当面は政府が23日召集の通常国会に提出する予定の「防衛力強化資金」新設特別措置法案の審査を実施する。2月以降は、各府省庁の無駄遣い削減や決算剰余金の活用などによる財源上積みと増税幅圧縮の議論を本格化させる。

 岸田首相の増税路線には世論の反発が強く「拙速」との批判も多い。特命委は世論を追い風に…(以下有料版で,残り722文字)

毎日新聞 2023/1/19 20:40(最終更新 1/19 20:40) 有料記事 1290文字
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