米民主・共和両党への支持は過去40年の間拮抗し、ごくわずかな差で政権や議会多数派が入れ替わってきた。
その間、両党の支持層は大きく変化したにもかかわらず、結果として微妙な均衡状態が続く。その理由は謎だ。

1980年代以後は、両党の党派的戦略が分断を固定化し、両党の差異を不明瞭にしている面がある。

その謎とは、なぜ政党がいったん得た政権を維持するのがこれほど難しいのか、ということだ。

誰もが知るように、米国は二極化している。しかしそのことは、なぜこれほど見事に半々に割れるかという理由を説明しない。

米国の歴史を見ると、3度の短い期間を除けば、二大政党のどちらかが明白な多数派として統治してきた。
だが現在は、両党が均衡状態にある。40年前にロナルド・レーガン氏が民主党の「ニューディール連合」を打ち破って以来、この状態が続いている。

レーガン氏の前任のジミー・カーター氏以降、中間選挙後も上下両院を支配した大統領はいない。
米国で、選挙ごとに支持政党を変える州や選挙区、有権者はごくわずかだ。にもかかわらず、政権は絶えず交代し続けている。

均衡状態が非常に微妙だからだ。米プリンストン大学で米国議会について研究するフランシス・リー氏は
「米国の歴史上、このような時期は存在しなかった。正直に言って、現状は根本的に不可解だ。
どちらかの政党を明確に支持する有権者がこれだけいて、それでも全米で足し合わせると半々になるというのは、どういうことだろうか」と首をかしげる。

米国政治のてんびんの揺れは、選挙ごとに微妙になっていくようだ。
現在、下院の議席は共和党がわずかに上回る。無党派のメディア「インサイド・エレクションズ」によると、この優位は1億700万票のうちの6670票によるものだという。

わずかな得票の変化が重大な結果につながる。そのため選挙結果の予測は難しくなり、政策の振れ幅も大きくなる。

2016年と20年の大統領選挙と20年の上院議会選挙では、得票が1%弱違えば反対の結果になっていたと考えられる。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00547/