「いつになったら治るのかわからない。どこまでひどくなるのかわからない」

取材に応じてくれた女性は、強い不安を感じていました。


多くの人が苦しむ新型コロナの後遺症。

詳しいメカニズムはまだわかっておらず、「治療法」も「治療薬」も現時点では確立されているとはいえません。
手探りの治療を進める松山市の医療現場を取材しました。 (NHK松山放送局 清水 瑶平)

松山市にある耳鼻咽喉科。ここでは新型コロナの後遺症とみられる患者をこれまでに100人以上、診察してきました。

患者の多くは「せき」や「のどの痛み」などを訴えているため、耳鼻咽喉科が診察をするケースも多いのです。
ただ、症状はそれにとどまりません。診療の記録には、「体がだるい」「息苦しい」「集中力が無くなった」といった、さまざまな症状が記されていました。

「脳に霧がかかったようになる」という人もいるといいます。

仕事に行けなくなったり、学校での勉強ができなくなったりと、日常生活にも大きな支障が出ています。

院長の久我正明さんは精神面への影響も大きいと感じています。

「人によって千差万別ですが、重い症状の人は本当に深刻です。現状では治す方法がないわけですから。
元気がなくなって人が変わったようになったり、精神的に不安定になっている人も多いですね」

現在、コロナの後遺症には明確な治療法が確立されていません。

久我さんが試みている1つの方法が、鼻とのどの奥にある部位、「上咽頭」への治療です。後遺症を訴える患者の多くはこの「上咽頭」に炎症があります。

上咽頭に直接、薬剤を塗ることで後遺症の症状が改善するケースがあるといいます。

久我さんは「はり」や「漢方」などの治療法と組み合わせながら試行錯誤を続けています。

久我正明院長
「少しは楽だと言ってくれるから、それが救いだと思ってます。僕がやっている治療が理想というわけではないけれど、少しでもよくする方向にしたいなと思いながらやっているんです」

https://www.nhk.or.jp/matsuyama/insight/article/20230123-1.html