任期満了に伴う青森県知事選(5月18日告示、6月4日投開票)で、県政与野党がともに対応に苦慮している。自民党県連は立候補を表明した青森市長の小野寺晃彦氏(47)、むつ市長の宮下宗一郎氏(43)の推薦を巡って意見が四分五裂の状態で、混迷の度は深まるばかり。一方、立憲民主党県連は独自候補の擁立を目指すが、選考作業は一向に進展していない。(青森総局・伊藤卓哉)

自民 推薦巡り四分五裂
 「後ろにずれることはあり得る」。1月29日、青森市であった自民県連の会合。会長の津島淳衆院議員(比例東北)は終了後、2月上旬を目標としていた推薦候補の決定を先送りする可能性を示唆した。

 会合には市町村・職域支部の幹部が集い、知事選への対応を協議。出席者によると、県連に推薦願を提出している小野寺、宮下両氏ともに支援すべきだとの声や自主投票を求める意見などが上がったという。

 一枚岩になれない県連の現状は、神田潤一衆院議員(青森2区)が28日に投稿したブログに象徴される。候補者選考は「党や県連の論理を優先すべきでない」と指摘。「『大義』が見つかるまで徹底的に議論する必要がある」と警鐘を鳴らした。

 立候補を表明した首長2人はともに保守系で、自民支持者が二分する恐れもある。会合後、県議からは「地域間対立をあおるだけだ」「どちらかの優秀な人材をつぶすことになりかねない」との懸念も漏れた。

 ただ、県連の方針は従前通りの二者択一。津島会長は「選考なので当然。県民に支持してもらえる方を示したい」と述べた。

立民 独自候補選考進まず
 対する立民県連。28日に青森市であった常任幹事会後の会見で、代表の田名部匡代参院議員は独自候補の擁立を強調し、「さまざまな努力を続けている」と改めて説明した。

 旧民主党時代は2011年に党県議を擁立、推薦したが完敗。15年は主戦論を唱えつつも候補者を立てられず自主投票。19年は旧立民などが、反核燃団体で組織する市民団体の候補を自主的に応援するにとどまった。

 今回の知事選も投開票まで4カ月と迫るが、田名部代表は「できるだけ早く擁立するのが望ましいが、どこにタイムリミットを定めるかは常任幹事会で相談する」などと歯切れが悪い。升田世喜男代表代行も「広範囲の情報収集が必要。役員会を頻繁に開いて対応する」と言葉を濁す。

 県連関係者の1人は、独自候補の擁立が困難となった場合、「小野寺、宮下両氏のどちらかを自主支援するのもありだ」と主張する声が県連内にあると明かす。その上で「自民の出方をうかがっているのが現状。相手が推薦する候補を決めない限り、身動きは取りづらい」と話す。

河北新報 2023年2月1日 6:00
https://kahoku.news/articles/20230131khn000054.html