2023年2月2日 06時00分

 陸上自衛隊輸送機V22オスプレイの飛行訓練が1日、陸自立川駐屯地(東京都立川市)で始まった。離島を除く都内の住宅密集地で自衛隊のオスプレイが訓練するのは初めて。今後、陸自木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備中のV22が月に数回、飛来し離着陸などの訓練をする。米軍が運用するオスプレイでは騒音被害や落下物など安全に関わる問題が相次いでおり、市民らは中止を求め訓練に抗議した。(松島京太)

◆今後はホバリング訓練も

 この日、V22一機が立川駐屯地に飛来し、離着陸の訓練を繰り返した。防衛省北関東防衛局によると、首都圏での大規模災害時の緊急輸送に備えるのが目的。事前に決めたルートを通常飛行する「航法訓練」などを計画。空中で機体の状態を保つホバリング訓練も実施する。訓練は午前8時~午後8時で、日曜祝日は原則実施しない。

 防衛局は、飛行ルートの一例として「木更津から東京湾を横浜方向に向かい、鶴見川から多摩川沿いに北西方向に飛行し立川へ到着する」と説明。「レーザー光線の照射などを防ぐため」として初日以外の訓練日程は明らかにしていない。

  木更津に暫定配備されているV22は11機。佐賀県の佐賀空港に正式配備予定だったが、地元の反対で木更津に暫定配備されている。全17機を配備予定で、暫定期間は2020年7月から5年以内としている。

 自衛隊のオスプレイは昨年11月に神津島(東京都神津島村)の防災訓練に参加。防衛局によると、都内で継続的な訓練は初めて。

◆具体的な内容と訓練理由の説明を

 「今も自衛隊などのヘリコプターの騒音で悩まされているのに、被害はさらに大きくなる」。人口密集地でもある東京都立川市の上空に、自衛隊のオスプレイがごう音を響かせながら姿を現した。立川駐屯地前で開かれた抗議集会では、参加者は「騒音も墜落もゴメンだ」と訴えた。

 1日午前11時ごろ、「ドバドバドバ」という重低音をとどろかせ、立川駐屯地の北側上空にオスプレイが飛来した。回転翼が発する音はヘリコプターより少し大きい程度だが、音質は異なる。風切り音ではなく、太鼓をたたくようなズッシリとした音が体に響く。

 集会に参加した福島京子さん(73)=立川市=は「今後、どんな訓練をするのか不安。具体的な内容と、訓練をしなければならない理由を住民にきちんと説明してほしい」と訴えた。

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