東京慈恵会医科大学 産婦人科学講座 助教 橋健らが参加する国際研究チームINTERCOVID-2022 International Consortiumは、
妊婦における新型コロナウイルスワクチン接種が、オミクロン変異株による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化や
周産期転帰に与える影響について世界18カ国・41の病院で調査を実施しました。

この結果、ワクチン接種によりCOVID-19から母児を効果的に保護できることが判明しました。

依然としてCOVID-19のパンデミックが続く中、今回の研究結果は妊婦への新型コロナウイルスワクチン接種の重要性を改めて示すものであり、
世界中の妊婦の管理指針に影響を与えるものと考えられます。

本研究の成果は世界五大医学雑誌の一つであるThe Lancetに2023年1月17日に掲載されました。

今回の研究は、オミクロン変異株のCOVID-19が母体および新生児に与える影響を評価するため、
オックスフォード大学のOxford Maternal and Perinatal Health Instituteが主導する国際共同研究として、
オミクロン変異株の感染が流行していた2021 年 11 月 27 日から 2022 年 6 月 30 日の間、世界18カ国、41の病院で実施しました。

期間中オミクロン変異株によるCOVID-19に罹患(りかん)した妊婦1,545人および罹患していない3,073人の妊婦について比較し調査しました。
また変異株に対するワクチンの有効性も評価しました。


ポイント

・妊婦がワクチン接種を受けていなかった場合、母体の重症化、重度の周産期合併症、母体死亡のリスクが増加しました。
COVID-19の症状が重度の妊婦では妊娠高血圧腎症のリスクが有意に増加し、特に有症状かつ重度の肥満妊婦では母体の重症化、周産期合併症のリスクが最も高くなりました。


・ワクチン接種を受けた妊婦は、重症化や周産期合併症が予防され、集中治療室に入院するリスクが非常に低くなりました。


・妊婦にはmRNA ワクチンがCOVID-19 の重症化と周産期合併症の予防に最も効果的でしたが、ウイルスベクターワクチンも十分な予防効果がありました。
また、mRNAワクチンとウイルスベクターワクチン共に、最後のブースター接種から少なくとも10ヶ月は予防効果があることがわかりました。

https://medical.jiji.com/topics/2924