0001蚤の市 ★
2023/02/03(金) 18:53:18.19ID:hwR5vpOB9「(軍の一部への)信頼を失った」。ルラ氏は襲撃事件から4日後の1月12日、地元紙の取材にそう語り、17日付の官報で情報機関「大統領府・安全保障室」(GSI)などに所属する軍幹部や兵士ら44人の解任を発表した。GSIが事前に襲撃の危険性を察知していながら、大統領府の警備体制を強化しなかったといった疑惑が出ているためだ。その後も陸軍司令官らが解任された。
軍を巡っては、ボルソナロ氏の支持者らが2022年11月以降、ルラ氏が勝利した同年10月の大統領選の結果を覆すため軍施設前に居座り、軍事介入を求めるデモをしたことを黙認した可能性がある。またボルソナロ政権下で大統領府に勤務していた少なくとも8人の軍人がデモに参加したことも判明している。
元陸軍大尉のボルソナロ氏が閣僚や政府機関に登用した軍人は多い。地元紙によると、ボルソナロ政権が登用した現役軍人は22年11月時点で2187人。ルラ氏が所属する労働者党の前回の政権時代(03~16年)と比べると2倍以上だ。
ルラ氏が軍幹部らを相次いで解任する背景には、軍からボルソナロ派を排除するとともに、軍の政治への影響力を抑える狙いがあるとみられる。ルラ氏は1月18日の地元テレビのインタビューで、襲撃事件について「クーデターの始まりのような印象を受けた」とした上で、「重要なのは軍の『非政治化』だ。陸軍はルラやボルソナロのものではない。国家を守ることが憲法で定められた役目だ」と強調した。
ただ、ブラジルでは軍事独裁政権が1964年から85年まで権力を掌握した歴史もあり、軍の「非政治化」などをどこまで進められるかは見通せない。
軍の動向を30年以上研究するサンパウロ州のサンカルロス連邦大のジョアオ・マルティンス教授(政治学)は「ボルソナロ氏は退陣したが、軍には依然としてボルソナロ派が多い。軍政を経験したことから、今も自分たちが政治的影響力を持つという思いも残っている」と指摘する。
加えて、軍には労働者党と因縁がある。きっかけは、自身も軍政下で拷問を受けた同党のルセフ大統領(当時)が11年に軍政の人道犯罪を調べる「真実委員会」設立を認めたことだった。真実委は14年12月の最終報告書で、死者・行方不明者は少なくとも434人と公表。これを機に、軍に反労働者党感情が高まったといわれる。
こうした状況から、ルラ氏は軍の離反を避けるための動きも見せる。国防省によると、1月20日には軍幹部らと会合を持ち、兵器増強を含めた軍の近代化などを議論した。ルラ氏は前回の大統領時代、国防予算増額などを通じて軍との関係構築を図った経緯があり、今回も似た手法を取る可能性がある。
マルティンス氏は、ルラ氏と軍の間で「チェスのような駆け引きが続く」と予想する。ただ、汚職で収監された過去を持つルラ氏を「軍は快く思っていない」と指摘。「ルラ氏は軍の強化に前向きな姿勢を見せながら、軍人の解任も進める『アメとムチ』で軍をコントロールしようとしているが、判断を誤ると、すぐ反発を受けるだろう」として、しばらくは緊張関係が続くとの見方を示した。【サンパウロ中村聡也】
毎日新聞 2023/2/3 18:09(最終更新 2/3 18:42)
https://mainichi.jp/articles/20230203/k00/00m/030/217000c