全国で2019~21年に発生した約100万件の人身事故のデータを分析した結果、小中学校や高校の近くの生活道路にある229カ所の交差点で、3年連続で事故が起き、1140人がけがをしていたことがわかった。警察庁は市街地の事故対策として、地域を時速30キロ制限などに規制する「ゾーン30」の導入を促しているが、指定されていたのはこのうち19カ所にとどまっていた。

 交通事故総合分析センターによると、歩行中に事故に遭う被害者は小学校低学年の子どもが最も多く、特に小学校に上がったばかりの1年生は「魔の7歳」と呼ばれる。19年には951人が死傷し、歩行者のうちで最も多かった。

 そこで取材班は、学校の近くの生活道路にある交差点に注目。専門家の監修のもと、警察庁が公開している交通事故のデータを独自に分析した。その結果、小さな交差点にもかかわらず、3年連続で事故が起きていた交差点が全国に229カ所見つかった。

 その一つ、千葉県四街道市の住宅街にある交差点では、3年で計4件の事故が起きていた。JR四街道駅から北西に約2キロ。幅4メートルほどの市道が交わる、信号機のない交差点にもかかわらず、近くの女性(40)は「私が中学生のころから地元では有名な魔の交差点。自転車の中学生がはねられた事故を目撃したこともあります」と証言した。

 こうした交差点は東京都や大阪府、福岡県など大都市を中心に22都府県に広がっていた。北海道と東北、北陸地方には存在しなかった。3年間で延べ930件の事故が起き、死者はいなかったが、うち314件で、24歳以下の若い人が当事者になっていた。

 警察庁は、こうした市街地の安全対策の一つとしてゾーン30の導入を11年から進めている。21年度までに全国4186カ所が指定された。幹線道路などに囲まれたエリアを時速30キロ規制や一方通行などにすることで、事故を3割ほど減らせるとされる。

 ただ、ゾーン30は地域全体が規制対象になるなど使い勝手の悪さもあり、229カ所の9割にあたる210カ所は指定されていなかった。交通政策に詳しい埼玉大大学院の久保田尚教授は「幹線道路より交通量が少ない生活道路にもかかわらず、3年連続で事故が起きるような交差点は極めて危険だ。一つひとつの交差点の危険性がデータで明らかになれば、ピンポイントで規制をかけられ、効率的に事故を減らせる」と指摘した。

事故件数ワースト3はどの交差点?
 小中学校や高校近くの交差点で起きる事故をどう防げばいいのか。地域全体を時速30キロ制限などにする「ゾーン30」は効果的だが、指定に至るハードルが高かったり、指定されていても事故が続く交差点があったりと、万能ではない。

 学校近くの生活道路で、20…()以下有料版で、残り2544文字)

朝日新聞 2023/2/5 6:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR246K20R1ZULEI009.html?iref=sptop_7_02