迷走続くタイ大麻市場 投資熱は拡大
2023.02.22
https://news.nissyoku.co.jp/news/kwsk20230213062158938

食品などへの添加が解禁されたタイの大麻市場が迷走を続けている。昨年の禁止リストからの除外以降、当初予定された医療・美容用など以外の目的外使用が増え、タイ保健省によれば中毒患者が2~4倍にも広がっているというのだ。このため同省は、幻覚成分を多く含む花蕾(大麻草の先端部分)の規制に乗り出し、購入する際は身分証明書の提示を義務付けるなどしたがあまり効果は出ていない。一方、食品メーカーなど産業界は新たな収入源の誕生だとして好意的に受け止めており、人通りのある場所では大麻成分を添加した菓子などを売る「大麻ショップ」のオープンラッシュが続いている。5月にもある総選挙の行方と絡んで、政争の具にもなっている。

タイ政府は昨年6月、使用を禁止する麻薬リストから一定の成分以下の大麻を除外する保健省令を発布。これによってタイの麻薬使用が一気に広がった。伝統的に薬草(ハーブ)の利用が盛んな国。精神を安定させたり、リラックスさせたりする医療・美容向けの利用は古くから行われており、解禁に当たっても反対の声はそれほど大きくならなかった。これまでの一時的な禁止も、国際的な麻薬撲滅運動に呼応したものだった。

ただ、解禁以前から若者を中心に乱用への懸念は指摘されていた。大学教授らの学識経験者は未成年者が多用した場合の健康被害を指摘。解禁直後から、若年者の使用が2倍以上に増えると警告していた。外国人旅行客が開放感から乱用するケースも心配された。日タイ両国の大使館は、日本への持ち込みは処罰の対象になるとして注意を呼び掛けていた。

もちろん、タイ政府も状況を放置することはなかった。大麻成分を含んだ食品や飲料を販売する際には、看板を設置するなど他の商品と区分して陳列するよう指示。学校や寺院、公園などへの持ち込みをしないよう措置を取った。対面販売を原則とし、自動販売機での販売も禁止した。抜き打ちの検査も行っている。