ウクライナ侵略を続けるロシア軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は20日、露軍上層部がワグネルに弾薬の供給を渋っていると非難する声明を交流サイト(SNS)上で発表した。ワグネルと露軍の間では軍事作戦での主導権を巡る確執が生じているとの観測が強く、プリゴジン氏の声明は両者の対立の激化を改めて示唆した。

プリゴジン氏は声明で、露国内には弾薬があるにもかかわらず、ワグネルの弾薬不足が解消されていないと指摘。露軍のスロビキン副司令官が総司令官を務めていた時期には弾薬供給に問題はなかったとも述べた。1月にスロビキン氏に代わって総司令官に任命されたゲラシモフ参謀総長や人事を発令したショイグ国防相を暗に批判した形だ。

プリゴジン氏は「朝昼晩の食事を金の皿で食べたり、娘や孫に(中東のリゾート地)ドバイで休暇を過ごさせたりしようが恥ずかしがることはない。私は弾薬が欲しいだけだ」とも指摘。ドバイで1月、豪勢な新年パーティーを開いていたと一部で報じられたショイグ氏の娘らを念頭に置いた発言だとみられる。

実業家であるプリゴジン氏は、露政府行事に料理を手配する事業を通じてプーチン露大統領と個人的関係を築き、「プーチンのコック」との異名も持つ。ウクライナ侵略では、戦闘員として勧誘した多数の囚人を東部ドネツク州バフムト方面での戦闘に投入し、ワグネルの存在感を高めた。ただ、露軍上層部は露軍の影響力低下を避ける思惑から、現在はワグネルに「手柄」を与えない方針に転じているとされる。

実際、プリゴジン氏は最近、「囚人の勧誘を停止した」と表明。これについて米シンクタンク「戦争研究所」は、露軍上層部が囚人の勧誘を認めなくなったためだと分析している。

一方、前線の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は20日、バフムト方面やリマン方面などドネツク州各地で激戦が続いたと発表した。南部ヘルソン州でも民間インフラが露軍の砲撃を受けたとした。

Yahoo(産経新聞)2/21(火) 11:10
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