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日本電気(NEC)は3日、物流倉庫などで作業内容やレイアウトの頻繁な変化に柔軟な対応ができるロボット制御AI(人工知能)を開発した。新技術を活用したロボットハンドリングにより、人の手に依存していた現場の自動化が促進され、業務の生産性向上や働き方改革に寄与する。過去に試したことのない作業条件でも、失敗の少ない最適な動作を自律生成して実行する世界初の技術という。

発表によると、庫内では人手不足を背景に、同じ作業を繰り返す単純な業務にはロボットなどの自動化設備の導入が進んでいる。しかし、物品を箱から別の箱に入れ替えて整列させたり、棚から出し入れしたりするハンドリング作業は、扱うものの形状や配置が多様なことから、自動化に必要なロボットの事前学習が数か月を要する可能性がある。


一方で、庫内における物品や作業レイアウトは頻繁に変更されるため、ロボット導入は一部に限定され、人手に頼っているのが実情という。

今回開発した技術は、現実世界の常識を学習・理解して行動を予測する「世界モデル」と呼ばれるを技術を応用。これにより事前学習の時間を数日間へと大幅短縮できるとともに、扱う物品や作業レイアウトの変更に対して臨機応変に対応する“技能”を習得できる。物品の大きさや形状が、学習した内容と異なる場合も、的確にものを掴んで所定の位置と向きに正しく置けるという。

乱雑に置かれた複数の種類の物品を箱の中に並べて詰める実証によると、従来の作業成功率が70%だったのに対して、新技術では95%にまで上昇した。NECはこの技術の検証を進め、2024年度中の実用化を目指す。


LOGISTICSTODAY 2023年3月3日