https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006311000.html

ことしの春闘は今月15日に集中回答日を迎えます。民間のシンクタンク各社では、賃上げ率の予測を当初より引き上げるケースが相次いでいます。中には賃上げ率が3%を超えるとする予測も出ています。

民間のシンクタンク各社は、ことしの春闘について「定期昇給」と基本給を引き上げる「ベースアップ」を含めた賃上げ率の予測を出しています。

各社で調査の対象企業が異なり単純に比較できませんが、3%を超える予測も出ています。

このうち、「SMBC日興証券」は、ことしの春闘での賃上げ率を3.3%程度と予測しているほか、「大和総研」は物価の上昇や人手不足を背景に賃上げの機運は高まっていて賃上げ率は3%程度と予測しています。

また「野村証券」は、春闘の賃上げ率の予測を当初、2.5%程度としていましたが、先月、2.83%に引き上げました。

そのうえで、大手企業では労働組合の要求に対して満額回答が相次いでいて、こうした賃上げの勢いが中小企業にまで波及した場合は、賃上げ率は3.3%まで上昇する可能性があるとしています。

また、「みずほリサーチ&テクノロジーズ」は、賃上げ率の予測を2.6%から2.8%に引き上げました。

厚生労働省が従業員100人以上の企業を対象に行った調査によりますと、去年の賃上げ率は1.9%でした。

ことしの賃上げ率が仮に3%になると、1994年以来の水準となります。

ただ、シンクタンク各社は当面は、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況が続き、実質賃金はマイナスの状況が続くと分析しています。

「大和総研」の神田慶司シニアエコノミストは、「賃上げ率はおよそ30年ぶりの水準となると予測しているが、当面は実質賃金はマイナスで推移するとみている。ただ、マイナス幅は政府の負担軽減策や資源高の落ち着きで縮小していくと予測している。賃金と物価が循環的に上昇していくためには、ことしの春闘で高い賃上げを実現し、来年以降も継続していくことが重要だ」と話しています。