東京都千代田区の番町地区に高層ビルを建築する日本テレビの計画を巡り、同区二番町にあって計画に反対する株式会社「グロービス」の堀義人・代表取締役が16日、意見を述べる機会を奪われたなどとして、二番町町会と町会長を相手取り、慰謝料50万円などを求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、2019年以降に数度にわたり、グロービスが町会の理事に立候補したい意向を示したが、改選が行われないことなどを理由に拒否されたとしている。定時総会が2年連続で書面総会とされ、堀氏が総会で意見を述べる機会が奪われたとも主張している。

 堀氏は提訴後に記者会見し、日テレの高層ビル計画に関し、「町会長はあたかも住民の総意かのように計画を推進する発言をしているが、そもそも町会に対して会員が意見を言える機会がなかった」と話し、「反対の人を排除している」と主張した。代理人の大城聡弁護士は「グロービスの質問や意見を町会宛てに送っても回答はない。司法の判断を仰ぐしかないと提訴に踏み切った」と話した。

 町会長は取材に、「何もコメントすることはありません」と回答した。日テレは「当社はお答えする立場にはないので、コメントは差し控えさせていただきます」とした。

 高層ビルは、日テレの旧本社跡地に建築が計画されている。計画地は、区の地区計画で60メートルの高さ制限があるが、公共の広場などを整備する代わりに容積率を緩和して高い建物が建てられる「再開発等促進区」を適用し、高さ90メートル以下のビルが計画されている。(本間ほのみ)

朝日新聞 2023年3月17日 6時00分
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