2017年4月に北九州市の私立高2年の女子生徒が自殺した問題で、いじめたとされる当時の同級生3人に対し、生徒の両親が生徒への謝罪を求めて小倉簡裁に民事調停を申し立て、和解が成立していたことが判明した。同級生側が生徒に謝罪し、両親側も慰謝料などを今後求めないとする内容。両親の代理人を務める迫田登紀子弁護士は「いじめを巡る争いで、遺族側も納得した上での和解は非常に珍しい」と話す。

 亡くなったのは当時16歳だった瑞菜(みずな)さん。和解は3人のうち2人が23年2月10日付、1人が同22日付で、瑞菜さんの父親(46)が3月17日、福岡市内で記者会見して明らかにした。


 迫田弁護士らによると、両親は20年3月、いじめたとされる同級生の女子生徒4人のうち3人に対し、一定の慰謝料の支払いを求める民事調停を小倉簡裁に申し立てた。残りの1人は申し立て以前に謝罪しており、他の3人にも謝罪を求める趣旨だったという。

 同級生側は当初、謝罪に応じない姿勢だったが、話し合いなどを通じて方向転換。21年11月には、学校管理下の事故などに災害共済金を給付する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」に両親が死亡見舞金の支払いを求めた訴訟の判決があり、福岡地裁が瑞菜さんの死を「いじめが自殺の主たる原因」と認定したことも影響したとみられる。


 3人は22年12月~23年2月にそれぞれ、瑞菜さんを死に追い込んだことを両親の前で反省し「一生忘れずに背負っていく」などと誓った謝罪文を読み上げた。両親も謝罪を受け入れ、3月には3人が瑞菜さんの墓参りをしたという。

 父親は取材に「娘の死を真摯(しんし)に受け止めてくれたと感じた。今まで謝ってくれない憎しみがあったが、それが解消して良かった」と明かした。


 瑞菜さんは17年4月17日の通学途中、「私に何かあったらAとBとC(いずれも同級生3人の名前)のせい」などと記したメッセージを無料通信アプリ「LINE(ライン)」で友人に送信し、自殺した。

 確定した21年11月の福岡地裁判決によると、瑞菜さんは16年11月ごろから約半年間、仲の良かった同級生グループ4人からうそをつかれたり、仲間はずれにされたりしていた。17年3~4月には、同級生らが瑞菜さんを除いて終業式の記念撮影をし、昼食をとるなどしていた。これらの行為について、地裁は「いじめ」と認定し、自殺は「いじめが主な原因」とした。


 一方、学校側は「生徒間」にいじめがあったとして、これまで両親に謝罪はしていない。今回の和解について、学校側は毎日新聞の取材に「和解の内容を承知しておらず、答えようがない」と述べた。【平塚雄太】

相談窓口(略)

毎日新聞 2023/3/17 11:59(最終更新 3/17 13:52) 1408文字
https://mainichi.jp/articles/20230316/k00/00m/040/388000c