独身のほうが自由が多いしお金や時間なんかのリソースも自分のために使えるんで、若いうちは独身のほうが幸せ。
だが「老い」に直面すると状況は一変する。
いくら金銭的時間的余裕があっても、「老い」によって失われる自由、というか自由への渇望が、どんどん人生の幅を狭めていく。
「老い」が進み気力体力すら失われるようになると、幅どころか人生そのものが真綿で首を締めるが如く自身を狭窄させる。この先は先細りの人生の牢獄しかない、と。

そんなとき、頼りになるのは今まで積み上げてきた他人との繋がりだが、厄介者とて無視できない近所付き合いはただでさえ希薄になり、親戚付き合いも核家族化で風前之灯。
クリック一つで関係を清算できるSNSなんて役立つわけもない。
だから、狂う。無敵になる。

人が自分の老いを受け止め、それでも笑って生き抜くためには、我が事のように感じられる次世代の活力が不可欠なんだと、老いて我が子の成長を見るたびに思い知らされる。