旧五国から成る多様性を誇り、「雄県」を自称してきた兵庫県。しかし、それを支える人口の減少が止まらない。推計人口は2009年11月の560万人から下降線をたどり、23年1月には540万人割れ。転出超過にも歯止めがかからず、21年には6879人(日本人のみ、国際移動含む)で全国最多と、高水準で推移する。県は「60年に450万人」の目標を掲げるが、縮む兵庫をどこまで抑えられるか、大きな課題が横たわる。(田中真治)

■転出超過を押し上げる20代


 就職活動が本格的にスタートした3月。甲南大(神戸市東灘区)では春休み中も、就活相談の学生が次々とキャリアセンターを訪れていた。

 転出超過数を押し上げているのが、就職期に当たる20代前半だ。

 自宅通学の男子学生(21)=同市須磨区=は「自然が豊かだし、適度な都会で住みやすい」と神戸を離れるつもりはない。印刷などの業種を考えているが、企業は首都圏に集中し、「自宅から通える会社が見つかるか不安もある」と漏らす。

 甲南大は地元出身者の割合が高く、来春の卒業予定者(2002人)に占めるのは68%。同センターによると、就職も「地元志向が強い」というが、県内企業への就職率は「2割強」だという。

 県の調べでは県内大学の平均は3割弱で推移。県外企業の就職者が全て県外に出るわけではないにせよ、心もとない数字ではある。

 県が人口減少を踏まえて20年に策定した5カ年計画「地域創生戦略(第2期)」は、転出超過について「24年までにゼロを目指す」とうたう。地元企業とのマッチング強化などを図ってきたが、改善は小幅にとどまり、道は険しい。

 県地域創生課は「大都市への集中は全国的な流れで反転させるのは難しい」としつつ、戦略を練り直し。23年度予算案では企業誘致や起業支援に力を注ぐのはもちろん、中小企業と連携した奨学金返済支援制度や東京圏の移住相談窓口の就職支援事業などを、新たに盛り込んだ。

 強調するのは「ニーズを受け止めた施策で、多方面に対策を打つ」必要だ。

 人口減少の要因は、転出超過だけではない。数量的に大きい出生数も、21年は目標値4万4千人を8千人以上も下回った。予算案では、出会いの機会づくりから不妊・不育症治療や男性の家事・育児の推進、学校の環境改善など、「切れ目のない支援」(同課)へ二の矢を継ぐ。


■「明るい兆しもなくはない」


 楽観視はできないが、30~40代が転入超過に改善、移住相談件数が全国でも上位となるなど「明るい兆しもなくはない」という。

 目標とする60年の総人口450万人は、100万人減とはいえ、1960年代後半の水準だ。大きく異なるのは年代構成。老年人口の拡大に対応するには、健康寿命の伸びがポイント。一方、働き手の中心となる生産年齢人口の減少には、技術革新などによる生産性の向上が欠かせない。旧五国間の人口の偏りも、地域社会維持の懸念材料だ。

 「数字ありきではなく、過度に悲観的になる必要はない」(同課)とはいえ、危機感がじわじわと迫る。複雑な方程式を解く鍵は、県政の場での議論にある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1bb1c972e4381d02c814958cbed97ebfcd6dbd2b

★1 2023/03/25(土) 14:06:50.41
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