厚生労働省は、最低賃金の目安額を示す都道府県のランク制度について、現行の4段階から3段階に見直す方針を固めた。ランク分けを少なくすることで地域ごとの格差を是正するのが狙い。ランク数の削減は1978年の制度創設以来、初めて。今年10月の改定から導入する。

 6日に開かれる厚労省の審議会で決定する。

 現行制度では、最低賃金に地域ごとの経済実態を反映させるため、賃金動向などに応じて都道府県をA~Dの四つのランクに分けている。毎年夏に労使の議論を経て、このランクごとに最低賃金の目安額が示されるが、数円程度の差が出ることが多い。特にC~Dランクの地域では、景気を理由に経営者側が引き上げを渋るケースがみられてきた。

 現在、Aランクは東京(時給1072円)など6都府県、Bは京都(同968円)など11府県、Cは北海道(同920円)など14道県、Dは沖縄(同853円)など16県。今後はA(6都府県)、B(28道府県)、C(13県)の三つのランクに再編し、AとBで労働者人口の9割を占める形にする。特に、Bを大幅に拡大してCを減らすことで、ボリューム層となるBランクの賃上げ水準を引き上げ、地域間の格差を是正したい考えだ。


 昨年10月に改定された最低賃金は過去最高となる31円を引き上げ、全国平均は時給961円。岸田文雄首相は今年10月の改定で同1000円に引き上げることを目指しており、今回の見直しにより環境を整備した形となった。【奥山はるな】

毎日新聞 2023/4/4 19:37(最終更新 4/4 20:39)
https://mainichi.jp/articles/20230404/k00/00m/020/248000c